家を借りるときに注意すべき賃貸借契約書・5つのチェックポイント

家を借りるときは、賃貸物件(マンションやアパート等)の所有者である大家さんと賃貸借契約を締結しますが、このときに出てくる重要な書類が賃貸借契約書です。この賃貸借契約書には、借主と貸主が合意のうえで取り決めた契約内容が書かれていますが、法律の条文のような文章が書かれていて一般の方にはわかりにくい部分があります。

とはいえ、契約書の中身は重要な内容ばかりなので、きちんと理解しておかないと契約した後になってトラブルが起きる可能性も。そうならないために、契約内容をしっかりと確認しておくことが大切です。

今回は、賃貸借契約書を読むときに見るべき主なチェックポイントを5つご紹介します。

 

 

賃貸借契約書の主な内容

賃貸借契約書には、物件名や所在地、家賃、敷金などが記載されており、契約書を見れば「入居者と大家さんがどんな賃貸契約を交わしているのか」が一目でわかるようになっています。

賃貸借契約書に記載されている主な内容は以下の通りです。

 

項目 内容
物件情報 物件所在地や建物の構造、建築時期など
設備等 浴室、トイレ、給湯設備等に関すること
契約期間 賃貸借契約の開始時期と終了時期について
賃料等 家賃や敷金、共益費に関すること
貸主と管理業者 大家さんの氏名・住所、管理業者の名称・住所など
借主情報 借主および入居者の氏名・住所・連絡先など
更新料 賃貸借契約を更新する際にかかる更新料の有無や金額について

 

賃貸借契約時は、「賃貸借契約書」に借主と大家さんが署名捺印をしますが、必ず契約をする前までに上記の内容をきちんと確認しておく必要があります。なぜなら、賃貸借契約は契約書に書かれていることが全てであり、後からトラブルが起きたときに「そんなの聞いてなかった!」という言い訳は通用しないからです。契約後のトラブル発生を回避するためにも、賃貸借契約書に書かれている言葉の意味をしっかりと理解しておきましょう。

 

1.賃貸借の目的物

(参考資料:賃貸借契約書雛型の一部分)

 

まず初めに、自分の借りる家がどんな建物で、どういった契約内容なのかを確認します。賃貸借契約書に書かれている内容は、一見すると難しそうに感じるかもしれませんが、落ち着いてじっくり読めばきちんと理解できます。

それでは、「賃貸借の目的物」についてのポイントを見ていきましょう。

 

  • 建物の名称・所在地等

賃貸借契約をする建物の名称所在地等が書かれています。例えば、「建物名称:〇〇マンション・2階・201号室」、「所在地:東京都〇〇区~」といったような物件に関すること基本的な内容です。借りる物件のマンション名や部屋の号室、住所等に間違いはないかチェックしましょう。また、建物構造や総戸数も記載されているので、木造・鉄骨造といった建物の躯体に関することや規模等がわかるようになっています。

 

物件を案内してくれた営業マンから聞いていた内容と一致しているかどうかを確認します。特に建物構造は、木造と鉄骨造の違いによって隣室への生活音の伝わり方が違う場合もあるため注意が必要です。

 

  • 付帯設備

建物に付帯している設備に関する内容です。例えば、「キッチン・浴室・トイレ」といった水回り設備や照明器具、エアコン、CATV対応、インターネット対応の有無等について記載されています。水回り設備や照明器具・エアコン等の有無は物件を内見した際に確認できますが、故障の有無については要注意です。

もし家を借りる前から設備に不具合があったり故障しているような場合は、きちんと賃貸借契約書にその記載があるかどうかをチェックしておきましょう。なぜなら、設備の修理代で大家さんとモメることがあるからです。

 

原則として、付帯設備の修理代は所有者(大家さん)が負担しますが、「入居者の故意・過失で壊れた」といった場合は、大家さんから修理代を請求されるケースもあります(修繕については後述)。

 

  • 契約期間

賃貸借契約を締結したときから契約終了までの期間について記載されています。賃貸マンションや賃貸アパートの契約期間は1~2年の場合が多く、例えば2年(契約期間満了)ごとに契約を更新するのが一般的。このとき、借主と貸主の双方に異議がなければ契約は自動更新(法定更新)される場合が多いです。

 

尚、契約更新の際にかかる「更新手数料」の有無と金額については予め確認しておく必要があります。たいていは賃貸借契約書に「契約更新手数料」の有無について書かれていますが、もし記載がない場合は契約前に聞いておくとよいです。例えば、更新手数料が有りの場合、契約更新をするたびに「家賃1ヵ月分」程度の費用がかかることがあります。

 

  • 使用目的

借りる物件の使用目的について。基本的に、「家を借りて住む」というのが大前提にあるため、「居住用」として使用するのが原則です。もし店舗用や事務所用として使いたいのであれば、居住用の賃貸物件ではなく「事業用テナント」を借りなければなりません。

 

賃貸借契約書に記載されている一般的な例としては、「借主は、頭書(契約書の冒頭部分)の入居者名欄記載の者の居住のみを目的として本物件を使用しなければならない」といったことが書かれています。こうした内容に反する物件の使い方をすると契約違反となり、大家さんから契約の解除や損害賠償請求などをされる場合があるので要注意です。

 

2.賃料・敷金または保証金

借りる家の家賃や、敷金(または保証金)について書かれています。一般的な記載内容としては以下のような形です。

賃料(家賃) 月額〇〇円
共益費(管理費) 月額〇〇円
敷金(保証金) 賃料の〇ヵ月分

 

もし上記以外に、その他一時金や付属施設使用料等がある場合はその費用も書かれています。賃料や敷金が契約前に聞いていた金額と合っているか確認しましょう。また、消費税についての記載がない場合は、念のため賃料が税込みかどうかも聞いておいたほうがよいです。そのうえで、契約書には「賃料(税込)」と記載してもらっておくと安心です。

 

3.貸主および管理業者

貸主である大家さんの氏名・住所・連絡先と賃貸物件を管理している管理業者の名称・住所・連絡先等が記載されています。この項目を見れば、借りている家のことで何かあったときにどこに連絡すればいいのかがわかるので、忘れずにチェックしておきたいところです。例えば付帯設備の不具合や故障等があったときは、契約書に管理業者の記載がある場合、まずは管理業者に連絡をして対応してもらうことになります。

 

よくあるトラブルのケースとしては、管理業者による対応の違いです。対応が早く丁寧な業者もいればそうでない業者もいるため、もし管理業者の対応が悪いときは、大家さんに連絡・相談してみると問題の早期解決につながる場合もあります。

 

4.禁止または制限される行為

この項目では、借りる家を使用するにあたり禁止・制限される行為について書かれています。一般的に記載されているのは以下のような内容です。

 

  • 借主は、貸主の書面による承諾を得ることなく、本物件の全部または一部につき賃借権の譲渡や転貸(又貸し)をしてはならない。
  • 借主は、貸主の書面による承諾を得ることなく、本物件の増改築や模様替え、敷地内に工作物の設置を行ってはならない。
  • 借主は、本物件の使用に当たり、大音量でテレビ・ステレオ等の操作、楽器の演奏等を行ってはならない。(こちらの詳細については別紙で渡されることが多い)

 

基本的には、借りている家を第三者に又貸しすることや騒音についての禁止・制限事項が記載されています。近年ではDIYが流行っていますが、賃貸物件を大家さんの承諾なく勝手に大掛かりなリフォームすることは禁止されているため、もしDIYをしたい場合は退去時に原状回復できるよう意識して行いましょう。どうしても大掛かりなリフォームをしたい場合は、事前に大家さんの承諾を得なければなりません。

 

5.契約期間中の修繕

原則として大家さんは、借主が物件をきちんと使用できる(住める)ように、必要な修繕を行うよう規定されています(民法第606条)。例えば、水道の蛇口に不具合があり水漏れが発生したときは、入居者がすぐに管理業者へ連絡して大家さんに修理してもらうのが一般的です。ただし、借主の故意や過失によって設備の修繕が必要になった場合は、借主がその費用を負担するケ場合があります。

また、設備の修繕をなかなか大家さんが対応してくれない場合は、いったん借主が費用を負担して修理を行うケースもありますが、そのときは予め大家さんの承諾を得ておかないと修理費用を負担してくれないことがあるので注意が必要です。

 

まとめ

賃貸借契約をするときのチェックポイントとして5つ挙げましたが、他にもペット飼育の可否や連帯保証人の有無といった物件によって注意すべき点が異なる場合もあります。基本的なチェックポイントとして5つの点に気を付けながら、賃貸借契約書を隅々まで読むようにしておきたいところです。

 

原則として、契約前には必ず宅地建物取引士(以下、宅建士という)による重要事項説明(以下、重説という)が実施されます。重説の際にはまず重要事項説明書が読み上げられ、宅建士による契約内容の説明があるので、疑問点があればそのときに質問するとよいです。賃貸借契約書は、そこに書いてあることが全てですので、後から問題が起きたときは契約書を見て内容を確認できます。

家を借りるときは、契約書に署名捺印をする前に必ず内容を理解しておき、疑問点は契約前までに解消しておくことを意識しておくことが大切です。わからないことがあれば、物件を仲介している不動産業者や専門家にその都度聞くように心がけましょう。

 

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