これから家の購入を検討している方は、住宅の選び方についてどこまでご存知でしょうか? 一般的に、不動産の販売価格は高額なケースがほとんど。そのため家を買う方の多くは不動産売買に慣れておらず、不動産についての知識もない場合が多いです。
この「不動産の知識がまったくない状態」で家を買うと、後になって問題が発覚しても簡単に契約を取り消すことができず、紛争に発展してしまうケースもあります。
家を買った後になって「失敗した」と後悔しないためにも、前もって不動産についての知識を身に着けておくことが大切です。また、家の選び方や注意点を知っておいたほうが失敗するリスクは低くなります。
そこで今回は、家を買うときに失敗しない気を付けるべきポイントをまとめました。
家を選ぶときの注意点
まずは、家を買う前に知っておきたい住宅選びの注意点をご紹介します。
家の現況をチェックする
一般的に、家の購入は大きく分けて下記の2つのパターンがあります。
【1】戸建を新築もしくは新築区分マンションの購入
【2】中古戸建・区分マンションの購入
新築と中古の場合では、それぞれ建物の状態が異なりますが、土地や周辺環境などのチェックポイントについてはほぼ同じです。それでは、建物の注意点について見ていきましょう。
新築住宅
新築住宅を買う場合は、建物についてしっかりと把握しておく必要があります。例えば建物の規模・構造・間取りや水回り設備などについて、きちんと販売会社に確認をしながら進めていくことが大切です。もし、まだ建築されていない建物の場合は、各階平面図や立面図、敷地配置図といった図面で確認できます。こうした図面のことを設計図書といい工事をするために必要なものなので、たいていは販売会社や不動産仲介業者に問い合わせると見せてもらえます。
中古住宅
中古住宅の購入を検討している場合は、建物の現況を確認しておきましょう。
⦁ 中古建物のチェックポイント
築年数 築20年を超える建物かどうか
耐震 築40年前後の建物(新耐震基準)
外観 外壁、屋根、軒裏 クラックなど
内装 建具、収納、窓、クロス、床、水回り設備など
築年数
もし住宅ローンを利用して中古の家を買う場合は、築年数が大きく影響してきます。住宅ローン控除が適用される要件の中には、「家屋が建築された日からその取得の日までの期間が20年(マンションなどの耐火建築物の建物の場合には25年)以下であること」というものがあるからです。
(参考:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1214.htm 国税庁)
せっかく住宅ローンを利用するのですから、住宅ローン控除を受けたほうが、所得税や住民税の節税につながりお得になります。そのため、中古住宅の築年数が20年を超えているかどうか、というのは大きなポイントになってくるのです。
耐震
築40年前後の建物(2020年時点では、築39年以上の建物)についても注意が必要です。新耐震基準というものを聞いたことはあるでしょうか? 新耐震基準とは、地震に耐えることができる建物構造の基準で、1981(昭和56)年6月1日以降の建築確認を受けた建物に適用されます。また新耐震基準は、大規模な地震(震度6強~7程度)でも建物が倒壊・崩壊しないことが基準となっています。
もし、買いたい家が新耐震基準の適合を受けていない場合は、耐震リフォームで対応していくことになります。まずは耐震診断を行ったうえで耐震リフォームをするケースが多く、自治体によっては耐震リフォームに関する助成金や補助金を申請できる場合があります。気になる方は、対象物件が所在する自治体に問い合わせてみてはいかがでしょうか。
・外観
主に、基礎や外壁のクラック(ひび割れ)、軒裏の破損・腐食、屋根の状態を確認します。
・チェックポイント
基礎 クラック(ひび割れ)
外壁 クラック(ひび割れ)
軒裏 ひび割れによる破損、雨による腐食、塗装の剥がれなど
屋根 屋根材や雨どいの破損、塗装の剥がれなど
・内装
実際に内覧をさせてもらい、建物の中の状態をチェックしていきます。
・チェックポイント
建具・収納 扉の開閉がスムーズか、破損はないかなど
窓 窓の開閉がスムーズか、破損はないかなど
壁 ひび割れ、クロスの傷・剥がれなど
水回り設備 キッチンや洗面台の下を見て水漏れがないか、異臭はしないかなど
もし家を買った後に大規模なリフォームが必要になれば、思わぬ出費になる場合があります。後悔しないためにも建物の現況はしっかりと確認し、リフォームをする際の費用を想定しておくことが大切です。
周辺環境をチェックする
購入対象の家がある現地まで行ったときは、周辺環境も確認しておきましょう。確認しておきたいポイントは下記の取りです。
日時を変えてチェック(平日と休日の違いや、昼と夜の違いを知る)
利便性の確認 交通、公共機関(銀行やATM、郵便局、病院)、買い物
子育て環境のチェック
近隣チェック
ゴミ置場のチェック
周辺環境は、平日や休日、時間帯などによって異なります。例えば平日の昼間は近隣住民が会社や学校に行っているので静かであっても、休日になると子供たちが道路で遊んだり家族が庭でバーベキューをしたりして騒がしくなることがあります。そのため、できるだけ曜日や時間帯を変えながら、何度か現地の環境を確認しておくことが大切です。
また、公共機関(銀行、ATM、郵便局、病院など)は近いか、そこまでに移動する手段はどうか、公園や学校までの距離はどうか、などについてもチェックしておきたいところです。
土地をチェックする
住宅を新築するために土地を探す場合や、中古住宅が建っている土地についてもチェックしましょう。
地震や台風被害が多い日本では防災意識が高まっており、インターネット環境があればパソコンやスマートフォンから簡単にハザードマップの確認ができるようになっています。
ハザードマップのWebサイトは下記の通りです。
ハザードマップポータルサイト https://disaportal.gsi.go.jp/
(出典:https://disaportal.gsi.go.jp/ ハザードマップポータルサイト)
わがまちハザードマップ https://disaportal.gsi.go.jp/hazardmap/index.html
(出典:https://disaportal.gsi.go.jp/hazardmap/index.html わがまちハザードマップ)
また土地によっては、切土や盛土を行い宅地造成されている場合があります。こうした人工的に宅地造成された土地かどうかについても、Webサイトから確認できます。ちなみに切土とは、斜面や高い地盤を切り出して平らな地面を造ることをいい、盛土は、斜面を平らな地表にするために土を盛って造成することをいいます。
切土や盛土は、以下の「国土地理院」のWebサイトにある「ベクトルタイル地形分類」から確認できます。
国土交通省 国土地理院 https://www.gsi.go.jp/bousaichiri/lc_index.html
さらに、土地がある場所によっては「埋蔵文化財包蔵地」に指定されている場合があるので注意が必要です。埋蔵文化財包蔵地とは、「文化財保護法第93条第1項」に規定される文化財が、地中に埋蔵していると周知されている土地のこと。例えば石器や土器、貝塚、古墳、住居跡などが埋蔵文化財にあたります。
埋蔵文化財包蔵地に指定されている土地の上に建物を建てるため土木工事を行う場合は、工事に着手する60日前までに文化庁長官へ届け出なければなりません。そのための手続きや発掘調査を行うのに時間がかかり、住宅を新築するときや既存の建物を建て替える際にすぐに工事ができない、といったリスクが考えられます。
埋蔵文化財包蔵地についてもWebサイトから確認できますので、気になる方はご覧になってみてください。
東京都内 埋蔵文化財包蔵地 https://tokyo-iseki.metro.tokyo.lg.jp/
(出典:https://tokyo-iseki.metro.tokyo.lg.jp/ 東京都教育委員会)
隣地との境界をチェックする
建物や土地の確認で現地へ行った際には、隣地との境界についてもチェックしておきましょう。隣地との境界部分に境界標があれば分かりやすいのですが、無いケースもあります。境界については、物件を仲介している不動産会社が確認をとってくれるのが一般的です。しかし、不動産業者によっては境界や越境についてあやふやなまま契約まで進めてしまう場合もあるため、できるだけ自分から業者に言ってチェックしてもらうようにしておくのがよいです。
可能であれば契約前に隣地所有者の立ち合い(境界確定)を得て、確定測量図や境界確認書などを作成してもらっておくと安心ですが、境界確定のための費用がかかる場合があります。
まとめ
家を買うときは、契約前に必ず土地・建物の現況や周辺環境を確認することが大切です。さらに隣地との境界や越境、物件がある土地の状況についてもチェックしておきたいところです。例えば前述したようにハザードマップで災害による警戒区域を調べたり、埋蔵文化財包蔵地の対象地域についても確認しておきましょう。
失敗しない家の買い方として、今回の記事でご紹介したポイントをひとまず押さえておくことで、買った後になって後悔するリスクを減らすことができます。分からない部分はその都度、現地で現況確認をしながらスマートフォン検索で調べることもできるので、前述した内容をぜひご参考にしてみてください。
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