これから家を買う予定がある方は、「戸建」を買うのか「マンション」にするのかで悩むことはありませんか?中には、住宅購入予定の夫婦間で意見が食い違って、戸建派とマンション派で喧嘩になってしまうことも。
戸建とマンションではそれぞれメリット・デメリットが異なり、どちらが自分や家族に合っているかは、住んでいる地域や生活スタイルによって大きく違ってきます。
今回は、戸建とマンションでいろいろと比較をしながら、それぞれの良し悪しを解説していきます。
戸建VSマンションを比較
まずは、戸建とマンションに関わるお金の部分や住環境を比較してみましょう。家を買うときに、戸建とマンションで主によく比較される部分を以下にまとめてみました。
購入価格で比較
戸建とマンションの購入価格による違いを見てみましょう。新築建物の場合は、戸建よりもマンションのほうが販売価格はやや高めの傾向にありますが、中古であれば戸建・マンション共に大きな差は見られません。RC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)のマンションだからといって木造の戸建より販売価格が高いというわけではなく、購入する際の価格の違いは物件が所在するエリアや立地、建物のグレード、規模などによるところが大きいです。
一般的に分譲マンションは都心部に近い場所に開発されるケースが多いのに対して、戸建は都心部から離れた郊外に新興住宅地が開発されている傾向にあり、販売価格も立地や建物の規模に応じて大きく異なります。
とはいえ、新築の戸建は安い建物であれば約1,000万円から建てられるものがあるので、例えば土地を500万円で買えばトータル1,500万円で新築戸建が手に入ることになります。対照的に新築分譲の区分マンションは、坪単価が低めのエリアでも1戸あたり2,000万円以上で販売されている場合が多く、市街地の中心に近いエリアだと3,000~6,000万円、もしくはそれ以上の販売価格になっています。
以下の表は、新築・中古の戸建とマンションの住宅価格、土地面積、建物面積などの推移です。
- 戸建
- マンション
(出典:https://www.kantei.ne.jp/report/102hakusyo-syutoH.pdf 「東京カンテイ」)
2019年の平均価格を見てみると、新築戸建よりも新築マンションほうが販売価格は1,000万円以上高くなっていますが、中古の場合は価格にそれほど大きな違いがありません。
維持管理費用で比較
維持管理費用は、主に建物や設備に対してかかります。戸建の場合は、自分で建物を管理する必要がありますが、毎月の固定費用として管理費の負担があるわけではありません。これに対して、基本的に分譲マンションは管理組合が建物を管理しているため、管理費と修繕積立金を毎月支払う必要があります。
管理費と修繕積立金の金額はマンションによって異なりますが、両方合わせておよそ2~5万円程度の費用負担があります。その代わり、管理人がマンションに常駐しており共有部分(階段・廊下・敷地内)を清掃管理してくれるので、自分で建物の外壁や屋根などをチェックしなくてもよいのがメリットです。ただし、分譲マンションとはいえ専有部分(居住部分)は自分で管理しなければなりません。
また、戸建は庭を駐車場として利用できることが多いのに対し、マンションの場合は敷地内の駐車場を有料で借りるのが一般的。さらに駐車場の場所も自分で好きに選べるわけではなく、マンションを買った時点で空いている場所か、クジの抽選で場所決めをしたところにしか駐車できないケースが多いです。
居住性で比較
戸建とマンションを居住性の違いで見た場合はどうでしょうか。
戸建は、平屋建もしくは2~3階建が多く、建物全体が完全に自分や家族だけの空間です。隣や上下階層の部屋の音を気にすることなく過ごせますが、マンションは共同住宅なので戸建と同じというわけにはいきません。一般的な分譲マンションは賃貸マンションよりも壁が厚く頑丈な構造になっていますが、それでも多少の生活音やくしゃみなどは隣や上から聞こえる場合があります。
- エレベーター待ちについて
マンションは住戸の数だけ人が住んでおり、戸数が多いマンションであればあるほどエレベーターを利用する人も多くなります。そのため、自宅を出入りする際にエレベーターが来るのを待たなければならない時間ができてしまいますが、この問題に関してはエレベーターが2基以上あればかなり待ち時間が軽減されます。大規模な分譲マンションはエレベーターを2基以上設置しているところが多く、タワーマンションの場合はさらにエレベーターの昇降速度も早くなっています。
戸建とマンションの居住性比較表
条件 | 戸建 | マンション |
駅からの距離 | 郊外の物件だと駅やバス停がやや遠い。 | 徒歩10分圏内の物件が多い。 |
住戸の広さ | 5LDK以上の間取りが多く広い。 | 1K~4LDKの間取りの物件が一般的。 |
陽当たりと
風通し |
マンションよりも窓が多く明るい。ただし南面道路以外の立地は、やや陽当たりが悪くなる可能性がある。 | エリアによっては同じ規模のマンションが近くに建っていることがあり陽当たりが悪いことも。
高層階だと採光通風ともに良好。 |
防犯面 | 自主的なセキュリティ対策が必要。 | 管理人常駐や防犯カメラなどによる安心感がある。 |
駐車場 | 敷地内にスペースがある場合が多い。 | 有料かつ2台目以降は確保が困難なことも。 |
ゴミ出し | 指定時間(一般的には早朝)にゴミ出しをする必要がある。
また、指定場所が遠い場合も。 |
ゴミ置き場に住民専用の鍵がついているマンションが多く、17時以降はゴミ出しが可能だったり、24時間OKな物件もある。 |
リフォーム、増改築
自分が所有している戸建であれば、リフォームやリノベーションなどの増改築が可能です。ただし、増改築する場合は建築基準法を違反しないように注意しなければなりません。
これに対し、マンションは専有部分であればリフォームやリノベーションは可能ですが、管理組合に申請して承認を得なければならないケースが多いです。
固定資産税で比較
固定資産税は、所有している土地・建物に対して課税される地方税です。
建物に関しては、築年数が古くなるにつれて固定資産税も下がっていくためRC造のマンションよりも木造の戸建のほうが課税額は安い傾向にあります。ただし、マンションは敷地の専有について世帯(住戸の専有面積)ごとで按分しているため土地にかかる固定資産税は少なめですが、戸建は所有している敷地にすべてに課税されることになります。また、土地にかかる固定資産税は地価によって変わるため、必ずしも毎年土地の納税額が下がっていくとは限りません。
固定資産税は、「全国地価マップ」で固定資産税路線価を見ることでざっくり計算することができます。
(参照:https://www.chikamap.jp/ 全国地価マップ)
固定資産税については、「知らなきゃ損する!?家を買うときにかかる税金と節税(※サイト内リンク)」の記事でも解説していますので、気になる方はご覧になってみてください。
戸建のメリットとデメリットまとめ
戸建の場合におけるメリット・デメリットを以下に書き出してみました。
- メリット
・駐車場代がかからない
・毎月支払う管理費や修繕費などの負担がない
・隣の音が気にならない
・庭がある(子供の遊び場として使ったり洗車できる)
・玄関と駐車場が違いから買い物が楽
・自分好みの間取りや内装にできる
・ペットが飼える
・子供に財産を残せる
- デメリット
・土地探しが大変
・注文住宅にするか、決まった間取りの建売にするか迷ったあげく、結局建売と同じような間取りになった
・庭の雑草がすぐ生えてくるから手入れが大変
・光熱費が上がった
・自分で建物を管理・修繕しなければならない
・町内の組合があると、ゴミ捨て場の掃除や夏祭りの準備、夜間パトロールなどの担当が順番に回ってくる
戸建は、独立した建物であることや間取りの広さから子供がいる世帯でも隣人を気にすることなく過ごせる、といったメリットがあります。その反面、敷地内の雑草の手入れをするなど自主的な敷地・建物の管理が必要です。
マンションのメリット・デメリットまとめ
それではマンションの場合はどうでしょうか。戸建と同じように、メリット・デメリットを以下にまとめました。
- メリット
・大型開発マンションならではの立地の良さ
・庭の管理が必要ない
・平日は管理人さんが常駐していて安心
・共用部分は毎日、管理人さんが管理・清掃してくれる
・眺望が良く防犯面も安心できる
・戸建よりも無駄な動線が少なく、部屋からキッチン、トイレ、バスルームなどの行き来がしやすい
・間取りがコンパクトなので子供を見ながらでも家事がしやすい
・高層階だと夜景が綺麗で虫が少ない
・高層階であれば戸締りも玄関だけ気にしていればいい
・鉄骨鉄筋コンクリート造なので耐震性や防災性に優れている
・気密性と断熱性が高いのでエアコンの効率が良い(冬は暖かく夏は涼しい)
・ゴミ出しがしやすい(鍵付きのゴミ捨て場)
- デメリット
・管理費や修繕積立金が毎月かかる
・駐車場代がかかる(2台目以上は確保しにくい)
・隣の物音が気になることがある
・海が近いなど立地によっては上層階だけ強風のときがある
・ペットが飼えない
・収納がやや少ない
・管理組合による定期的な取り決めに参加しなければならない
集合住宅につきものの、隣人の生活音がやや気になるケースもありますが、物件によっては周囲の世帯の洗濯機や掃除機の音すら一切聞こえてこないマンションも多くあります。ほとんどの場合、駐車場は有料となっており2台目以降の確保は困難です。しかし、管理人が常駐していたり、エントランスのオートロック+防犯カメラ設置によるセキュリティ上の安心感は大きなメリットといえるでしょう。
戸建とマンションでは周辺環境の状況も異なる
戸建とマンションでは、販売価格や維持費の面だけでなく、住環境もそれぞれメリット・デメリットが異なります。家族構成や生活スタイルによって住み心地が違ってくるので、本記事の比較をぜひお家選びのご参考になさってみてください。
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