隣家の騒音で眠れなくなったり、うつ病になるケースは少なくありません。
そうした場合、慰謝料や心療内科に支払った治療費を騒音を立てた側に請求することはできるのでしょうか?
騒音問題で治療費が支払われた実例
実際に騒音問題で慰謝料・治療費が原告側に支払われたケースをご紹介します。
騒音問題が発生した場所は、東京都品川区のマンションです。
「上の階に住んでいる家族の子どもが飛び跳ねる音がうるさい」と下の階の住民が民事訴訟を起こしました。
原告側は、専門家に依頼して上階から聞こえる音の測定を行いました。
それによって実際の騒音は日中に加えて、夜の9時以降になっても発生していたことが証拠として提出されました。
この証拠から裁判では「生活実感としてかなり大きく聞こえ、相当の頻度であった」という判断がなされ、
・上階の住人に一定以上の騒音を出さないように命ずる
・上階の住人に慰謝料60万円と騒音測定の費用や訴えた住人の治療費を支払うように命ずる
という判決が下されました。
騒音を出さないようにという指示に加えて、慰謝料、業者に支払った騒音測定費用、治療費までも相手が負担せよというのですから、訴えた側に圧倒的に有利な判例ですね。
あくまでもケースバイケースではありますが、今現在騒音で苦しめられ、うつなどの精神疾患に悩まされてている人も、このような結果を得られる可能性があります。
騒音問題を解決し、うつ病の治療費を勝ち取るために必要なこと
前述の例では、騒音トラブルに悩んでいた人に有利な判決がでたわけですが、これはすべての人に当てはまるものではありません。
明らかに騒音の発生源に原因があったとしても、訴えた側に不利な判決が出てしまうこともあるのです。
ではどうすれば、あなたに有利な結果を得ることが出来るのか?
次のポイントがカギとなります。
騒音の適切な測定と記録を取る
まず、口頭だけで「〇〇号室から夜になると子供の走り回る音が聞こえてくる」といってもあまり効果は見込めません。
理由は、第三者が認識できる証拠がないからです。
客観的な証拠を提出されない場合、最悪、根も葉もないクレームと取られてしまうことだってあり得ます。
答えは、騒音レベルのわかる騒音の測定記録を手に入れることです。
騒音をスマホで録音したものでもないよりはましですが・・・デシベルで示される騒音レベルがどれくらいであるかがわかりません。
「受忍限度」という言葉をご存知でしょうか?
騒音,振動,煤煙などによる環境権,あるいは人格権の侵害や公害訴訟において問題となるもので,一般人が社会通念上,がまん (受忍) できる被害の程度をさす。この範囲内であれば不法行為は成立せず,損害賠償や差止めは認められない。判例は,多くのいわゆる環境権訴訟において,被害の程度がこの受忍限度内であることを理由に請求を退けている。
こちらの定義にあるように、あなたがなんとかしたい!と思っている騒音が「受忍限度外」(我慢ができる範囲を越えている)ということを示さなめればなりません。
ここで言われている「受忍限度」には明確な数値があります。
市町村によって定められているものですが、ここでは大阪府茨木市のHPから引用します。
大阪府生活環境の保全等に関する条例に基づく規制 騒音の規制基準
例えば、第一種中高層住居専用地域にあるマンションに居住している場合を考えてみましょう。
ここでは、騒音の規制基準が3つ定められています。
- 朝夕 45デシベル
- 昼間 50デシベル
- 夜間 40デシベル
特に、寝ている時間に騒音がうるさいと感じた場合、寝室で寝具に横になった位置で騒音を測定し、それが40デシベルを越えていれば「受忍限度外」と言ってよいでしょう。
「40デシベルといってもいまひとつピンと来ない」という方もいると思いますので例を挙げます。
40デシベルは、「静かな図書館」程度の音の大きさになります。
50デシベルは、「木々のざわめき」「エアコンの音」程度の音の大きさです。
デシベル具体的な計測法についてはこちらの記事を参照してください。
医者にうつ病の診断書を出してもらう
あなた自身が「気持ちがふさいでいる」=「鬱」と感じていても、その発言だけでは証拠にはなりません。
騒音を騒音計で測定したように、第三者が見ても明らかな証拠=診断書が最低でも必要となります。
実際に心療内科や精神科に診断を受け、裁判に証拠が必要と説明したうえで診断書を発行してもらってください。
法律の専門家によるアドバイスの重要性
ここまで読んで、「騒音でうつ病になった場合、治療費や慰謝料を取れることはわかったけれど、裁判は敷居が高すぎる」と思われたかもしれませんね。
実際にうつ病になっている状態であれば、裁判を起こすのは不可能と感じても無理はありません。
しかし、こういった近隣とのトラブルを解決する方法は裁判だけではないのです。
弁護士事務所には無料の相談を受け付けているところもありますので、現時点で何ができるかについて、まずはアドバイスを受けてみることを強くお勧めします。
まとめ
騒音で眠れなくなり不眠症となったり、うつ病になったりした場合、その治療費や慰謝料を相手側から勝ち取ることは可能です。
そのためには、客観的に確認できる有効な証拠、
- 騒音の適切な測定と記録
- 医者による診断書
を手に入れましょう。
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